タンザニア・ビジネスニュース(2014年12月上半期) |
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(1)タンザニアの納税のしやすさは、148位(ビジネス環境)2日、プライスウォーターハウスクーパーズ(PwC)は世界銀行グループ(WB)と共同で世界189ヵ国を対象とした2013年6月から2014年6月までの納税の容易度に関する国別ランキングを発表。タンザニアは、昨年度(2012年6月~2013年6月)の147位からランクを落とし148位。税負担率は利益の44.3%で、東アフリカ共同体(EAC)域内のルワンダ(33.5%)、ウガンダ(36.5%)、ケニア(38.1%)の負担率を大きく上回っている(世界平均は40.6%)。タンザニアの税負担率を上げる要因として労働税があり、雇用者が支払う社会保障費に加え、人件費に対し「技術及び開発」税(2013年度予算では6%から5%に削減されたが2014年度予算では改訂なし)が課せられる。納税に要する時間は181時間とEAC域内でも短く、世界平均を下回るが、納税回数は49回で他のEAC諸国を大きく上回っている(日本の負担率は、51.3%、時間は330時間、回数は14回)。なお、タンザニア歳入局(TRA)、タンザニア中央銀行、商業銀行及び携帯電話会社などとの間のインターフェイスとして2013年7月からはTRAレベニュー・ゲートウェー・システムが導入され、銀行間決済システム、携帯端末による電子的な納税手続きが可能となった。また、付加価値税の返還には電子ファイリングシステムも導入された。同改革の拡大による納税のしやすさの向上が期待される。 2014年12月2日付シティズン第10面 2014年PwC・WB(2014)「Paying Taxes 2015」 2013年PwC・WB(2013)「Paying Taxes 2014」 参考情報:「タンザニア・ビジネスニュース2014年10月下半期」(13) |
(2)ケニアのBRITAM社、Real Insurance Tanzania社を正式買収(サービス)2日、保険、資産運用管理などに従事するケニアのBritish-American Investment社(BRITAM社)は、Real Insurance Tanzania社の株式の55%を1,000万米ドルで正式取得した旨発表。今般の買収により、東アフリカ地域最大の保険グループとなり、タンザニア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、南スーダン、マラウィ及びモザンビークで資本運用管理等を含む保険関連事業を展開していく。 2014年12月3日付ガーディアン第4面 |
(3)タンザニア、中国の対アフリカ投資のモデル国へ(投資)3日、中国外務省アフリカ局のリン局長はタンザニアを中国による対アフリカ投資のモデル国として選んだ旨説明。少数の投資先に注力するのが目的で、今後2年間で100件の対タンザニア投資を推進していく予定。なお、他のモデル国はエチオピアとモザンビーク。 2014年12月4日付デイリーニュース第19面 |
(4)AGRA、ポストハーベスト・ロス削減に向けた貯蔵技術活用を促進(農業)アフリカ緑の革命同盟(AGRA)は、ロックフェラー財団の支援でンジョンベ州イブミラ村に薬剤を利用しない農作物の保管庫の導入試験を行っている旨説明。気密コクーン(hermetic cocoon)を利用した耐用年数約10年の施設で、5~90立法メートルの貯蔵容量。メイズ、ソルガム、豆及び米等の貯蔵に活用出来る同施設は、無事に試験が終了すれば、約400万シリングで農家向けに販売されることとなる。AGRAは他にも現地製造の金属製サイロを15万シリングで販売。また、単価4,000シリングと廉価で入手が容易なPICS(the Purdue improved cowpea storage)袋の活用もンジョンベ州、イリンガ州、ムベヤ州、モロゴロ州及びソンゲア州等で他技術と併せて推進していく予定。 2014年12月6日付ガーディアン第7面 |
(5)BiasharaWorks社、ケニア、ナイジェリアでクラウド型ERP事業を受注(サービス)ITソリューション・サービスを提供するBiasharaWorks社は、ケニア、ナイジェリアでクラウドERP(自社サーバーを要しないクラウド型統合基幹業務情報管理システム)事業を受注。ケニアでは、飲食産業大手でドミノ・ピザ等のケニアにおける独占営業販売権を所有するOm Nom Nom Mauritius社、ナイジェリアでは同国の石油採掘大手のDepthWize社からそれぞれERP事業を受注。BiasharaWorks社はサブサハラ・アフリカ地域において現在、唯一クラウド型アプリケーションNetSuiteを提供するタンザニア企業。今後、同地域における展開をさらに拡大していく予定。 2014年12月11日付シティズン第10面 |
(6)有機農地面積は2009年から2.5倍に(農業)タンザニア有機農業運動(TOAM)は、タンザニアの有機農業の成長は急成長しているとし、認証を受けた有機農家の多さ、恵まれた天候等がその要因となっている旨説明。ドイツに拠点を置く国際有機農業運動連盟(IFOAM)が、スイスの有機農業研究所(FiBL)と共同で発表した2014年の世界の有機農業の現状に関する報告書(2012年データに基づく)によれば、有機方式により管理されている農業用地はアフリカではウガンダ(約23万ヘクタール)に次ぐ2番目の18万6,537ヘクタール。タンザニアの全農地の0.5%(有機農地の占有率はアフリカ第7位)を占めており、2009年と比べ約2.5倍の面積。主な有機製品はカカオとコーヒー豆等。有機農業に従事する農家は約15万戸でインド、ウガンダ、メキシコに次ぎ第4位。 2014年12月17日付ガーディアン(ビジネス版)第1面 Helga& Lernoud(Eds.)(2014)「The World of Organic Agriculture: Statistics and Emerging Trends 2014」(Revised Vers.) FiBL-IFOAM:フリック&ボン |
(7)IPTL問題に対するタンザニア政府の対応と米国MCCの援助覚書締結の延期(政治・電力)タンザニア電力供給公社(TANESCO)と民間の電力事業者インデペンデント・パワー・タンザニア社(IPTL)間の売電料金価格を巡る係争問題により設置されたエスクロー口座(タンザニア中央銀行が管理する第三者管理資金口座)から、約120百万米ドルが、IPTLを買収したと称するPAP(パン・アフリカ・パワー)社の口座に不正に支払われたとされる問題をめぐる政府関係者等の汚職疑惑に関し、11月下旬、国会審議において、ムホンゴ・エネルギー鉱物資源大臣、同マスイ次官、ウェレマ法務長官及びティバイジェカ土地住宅集落大臣の4官僚並びにTANESCO理事会メンバーの更迭等の勧告決議が可決された。これを受け、9日、大統領府は、国家倫理委員会の調査を経て今後の対応を決定する旨発表。10日には、米ミレニアム・チャレンジ公社(MCC)が、現在準備を進めている電力セクターに対する第2次無償資金贈与に係る覚書の締結を先送りする旨発表。 2014年12月9日付タンザニア大統領府ステートメント 2014年12月10日MCCプレス発表 参考情報:「タンザニア・ビジネスニュース2014年11月上半期」(9) |
(8)中AVIC、ダルエスサラームに技術サポート・センターを設立(運輸)中国航空工業集団公司(AVIC)は、ダルエスサラームに航空機の技術サポート・センターを設立。開所式に出席したムワムニャンゲ運輸省副次官は、今般のサポート・センターの設立は、10月のキクウェテ大統領の中国訪問の際に締結された覚書に基づくものである旨説明。更にム副次官はタンザニア航空(ATCL)とAVICとの間の合弁会社の設立予定についても発言。AVICは、操縦士訓練所、整備・修理及び運航サポートに係る施設を設置する予定であるとし、今後、アフリカ地域における顧客サービス・ネットワークを拡大していく旨発言。 2014年12月15日付シティズン第10面 2014年12月15日付デイリーニュース第1,3面 2014年12月3日付デイリーニュース |
