タンザニア事情

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    1.マクロ経済

    タンザニアは,2001年頃から概ね7%前後のGDP成長率を維持しており,特に近年は建設,採掘,運輸,通信分野が成長を牽引している。

    安定した経済成長を続けるタンザニア経済は,世界銀行(World Bank: 世銀),国際通貨基金(International Money Fund: IMF),アフリカ開発銀行(African Development Bank: AfDB)などの金融機関からも評価を得ている。インフレ率も低く安定しており,輸入の減少の効果として貿易赤字も少しずつ縮小している。

    一方で,現政権(2015年~)による積極的な開発事業の敢行が見られるものの,政府の優先事業以外における国家予算の執行率の低さは改善が見られていない。また,緊縮財政の徹底や規制改革の不透明さが開発予算の執行を滞らせている側面もある。加えて,ビジネス環境の改善が進まない状況が民間セクターの成長を阻害していると見られる。



    最近の主要マクロ経済指標の推移

    出所:IMF(April 2018)World Economic Outlook Database; Bank of Tanzania(BoT)(June 2018), "Monthly economic Review" ; World Bank Open Data [https://data.worldbank.org/country/tanzania]

    201220132014201520162017ソース
    人口(百万人,本土)44.92945.82846.74447.67948.67750.045IMF
    一人当たりGDP(USD)747.664777.404806.150835.970867.038900.523WB
    GDP成長率(%)5.1417.2636.9656.9546.9536.000IMF
    インフレ率(%,年平均)16.0017.8706.1325.5885.1775.324IMF
    輸出(十億ドルドル)5.8895.2585.1945.4025.697n.aWB
    輸入(十億ドル)-10.319-11.029-10.918-9.843-8.464n.aWB
    貿易収支(十億ドル)-4.430-5.771-5.724-4.441-2.766n.aWB
    為替レート(TZ/USD,年平均)1,571.701,598.701,652.501,985.402,177.102,228.90BoT
    外貨準備高(十億ドル)4.0684.6764.3774.0934.3255.906BoT

    (1)成長率

    2018年のムーディーズによるソブリン格付けでは,経済力において比較的高い評価を得ており,資源分野の生産力と潜在性の高さ及び大規模インフラに対する経済的な投資により,中期的にもこれまで同様の成長が期待されると評された。

    名目GDPと実質GDP成長率の推移

    出典:IMF (April 2018) World Economic Outlook Database 2013

    (2)インフレ率

    2000年代後半に著しい上昇が見られたタンザニアのインフレ率は,2014年以降落ち着きを回復し,政府が中期的な目標としてきた5%に近づいている。

    (3)産業構造

    タンザニアの労働人口の多くは依然として農業に従事しているが,農業がGDPに占める割合は年々減少している。政府は2025年までの工業化(industrialization)を通じた中所得国入りを目標として掲げており,インフラ開発のための公共投資,経済特区などへの製造業の誘致を積極的に行っている。現時点で製造業ののびは経済全体の伸びと同水準にとどまるが,近年の石炭や天然ガスの生産量増加により,鉱業分野が大きく伸びている。