タンザニア事情

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    高い経済成長率

    タンザニアは独立後,1967年に「ウジャマー政策(Ujamaa: スワヒリ語で「家族的連帯」の意)」を掲げ,アフリカ型社会主義による建国を目指した。そこでは,援助依存からの脱却や農業重視が掲げられ,住民の自発的意思によるウジャマー村の建設とそれによる共同農場化が構想されていた。しかし,ウジャマー村建設は思うように進まず,政府が共同農場化を強制したことで,農民からの反発や生産現場における混乱が起こる。さらに,1972年の干ばつ,1973年の石油危機に加え,1978年以降の対ウガンダ戦争などの要因も重なって経済は疲弊していった。そのような経緯から,タンザニアは1986年に社会主義を放棄し,世界銀行(世銀)や国際通貨基金(International Money Fund: IMF)の主導による構造調整政策を受け入れることになる。しかし,経済の回復にはその後も長い年月を要した。

    1990年代半ば以降はようやく経済が成長に転じ,2000年代に入ると,タンザニアの主な輸出品である金や農産物の価格上昇,観光業の興隆によって経済成長期に突入した。その後も,建設・IT投資によって,堅調なGDPの伸びを維持している。また,2004年以降天然ガスの開発が始まり,2010年ごろからは新たなガス田の発見も相次いで額を利用した発電が始まるなど,今後もさらなる成長が見込まれている。

    しかし一方で,経済格差が広がっており,28.2%の人口がタンザニア政府の定めた貧困線よりも低い水準で生活している(2018年現在)。また,若年層の高い失業率も引き続き課題となっている。

    貧困削減戦略と国家開発計画

    タンザニア政府は,経済成長の加速と貧困削減に重点を置いた「タンザニア開発ビジョン(Tanzania Development Vision)2025」を国家戦略に掲げ、国民生活の質の向上や,法律に基づいたグッド・ガバナンスの達成,競争力のある強い経済の実現を目指している。2005/2006年度には,「経済成長と貧困削減」,「生活の質と社会福祉の改善」,「グッド・ガバナンスと説明責任」の3項目を柱とする5年間の「成長および貧困削減国家戦略(National Strategy for Growth and the Reduction of Poverty: MKUKUTA)」が開始され,ミレニアム開発目標の達成を目指した。

    同戦略終了後には,同戦略を引き継ぐ2010/11年度から2014/15年度までの「成長および貧困削減国家戦略Ⅱ(National Strategy for Growth and the Reduction of PovertyⅡ: MUKUKUTAⅡ)」が策定され,特に、農業開発や、電力・道路・給水設備等の各種インフラ開発などに重点が置かれることとなった。

    さらに政府は,経済危機によって1980年に中断した長期開発計画を再開し,セクター毎に設定していた開発戦略を統合して長期的視野から「タンザニア開発ビジョン 2025」の目標の達成(準工業国家となり中所得国入り)を目指す15ヶ年計画を2011年に策定。15年間を5年ごとに区切った同計画は現在第2段階目にあり,ほぼその開始時期に成立したマグフリ大統領が率いる現政権(2015~)は,国家の工業化に力を注いでいる。

    ビジネス環境の変化と保護主義的傾向

    2010年代に入ってタンザニア沖での天然ガスの発見が相次いだことで,2012年のタンザニアへの海外直接投資総額は前年比38.81%増の17億600万ドルとなり,その後2013~2014年には20億ドルを超えた。ただし,近年のガス価格の軟化状況によって,これより沖合ガス田の開発は進んでいない。また,近年のFDIは減少傾向にあり,2017年には11億8400万ドルとなった。

    FDIの減少の背景には,近年のタンザニアのビジネス環境の厳しさがあると考えられる。2016年以降,政府はタンザニア人の雇用の促進および国内企業の保護・育成に注力しており,労働法規による外国人雇用の規制や国内企業保護のための厳しい輸入規制を導入した。また,2018年に制定された鉱業ローカルコンテンツ規制(Mining (local Content) Regulations)は,同分野への海外投資家に対してタンザニア人の雇用やタンザニア企業との契約,共同運営を強く奨励している。

    現在政府は,税の簡素化やビジネス関連の手続きの短期化などによるビジネス環境の改善を通じて投資誘致を促進しようとしているが,電力等基幹インフラの不足、行政手続の遅延、法改正や行政命令予測性等の課題が引き続き存在する。