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タンザニア・ビジネスニュース(2014年12月下半期・2015年1月上半期) |
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(1)タンザニア地方選挙の開催(政治)12月14日、タンザニア行政の末端組織であるStreet/Villageレベル(都市部)、Villageレベル(農村部)の長と村・町議員の選挙及び農村部においてはVillageの下位組織Hamlet(村区)長選挙が前回2009年から5年ぶりに開催された。首相府地方自治庁が発表した村・町長の選出結果によれば、与党CCM候補の占める割合は前回の92%から75%に減少し、野党候補の占める割合は8%から25%に増加。 今次地方選挙で選挙人登録を行ったのは有権者1,800万人の内1,100万人。議席数はStreet3,741、 Village12,443(都市・農村部計)、Hamlet64,616。なお、今般の選挙では手続き・運営上の不手際を発端として一部地域に於いて混乱が生じたため、選挙の実施を延期した地域もあった。 2014年12月18日付シティズン第1、2面 |
(2)タンザニア、ケニア、ザンビアを繋ぐ連系送電線建設にかかるMoUの締結(電力)12月15日、タンザニア、ケニア及びザンビアの3ヵ国は、ザンビアのリビングストーンにおいて同3ヵ国をつなぐ長さ1,600キロメートル、のザンビア-タンザニア-ケニア連系送電線(ZTK Interconnector)の建設にかかるMoUに署名。概算総工事費約12億米ドルの同計画の完成によりタンザニア、ケニアはザンビア系統への連結を通じて余剰電力を融通し電力価格の低減が可能となる見込み。 ムホンゴ・エネルギー鉱物大臣は、現在のユニット当たり30~50セントを大幅に下回る、ユニット当たり10セント(US)以下の低価格での3カ国間における電力売買が可能となる旨説明。さらに同大臣は本計画への投資を促進するために各国政府による法制度の整備が必要である旨発言。なお同計画の着工は2016年、完成は2018年となる見込み。 2014年12月16日デイリーニュース第1面 2014年12月18日ガーディアン(ビジネス版)第1面 |
(3)キクウェテ大統領、TPDC新総裁としてマタラギオ氏を任命(天然資源)12月15日、キクウェテ大統領はタンザニア石油開発公社(TPDC)の新しい総裁としてジェームス・マタラギオ氏を任命。マタラギオ新総裁は、米Bell Geospace社(2004年~2014年)、伯ペトロブラス社、英BP等の石油・ガス企業での職務経験を有する。なお、同氏は2005年にミズーリ大学ローラ校で地質学の博士号を取得、1997年には琉球大学大学院を卒業。 2014年12月19日付シティズン第3面 2014年12月19日付デイリーニュース第3面 |
(4)ピンダ首相のカタール訪問(外交・投資)12月21日から23日、ピンダ首相はカタールを公式訪問。アブドゥッラー・ハリーファ・アル・サーニ首相兼内務大臣と会談を行い、カタール国内におけるタンザニア人の雇用促進、対タンザニア農業・漁業分野投資、石油・ガス開発及び情報通信技術における協力の主に4分野について協議。今般の訪問にはカマニ農業大臣、マンボヤ農業観光大臣(ザンジバル革命政府)、タンザニア民間セクター財団、タンザニア石油開発公社の代表等が同行。 また、2012年10月のキクウェテ大統領によるオマーン訪問を受け、2015年1月14日から16日には、オマーンからのビジネス・ミッションがダルエスサラームを訪問し、特に農業、漁業等の分野での投資について協議。なお、英エコノミスト誌を発行するエコノミスト・グループの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、ペルシャ湾岸の6ヶ国(サウジアラビア、クウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーン)から成る湾岸協力理事会(GCC)の対サブサハラ・アフリカ投資は額・分野共に拡大しており、今後両地域間における経済関係の更なる活発化が予想される旨報告。 2014年12月22日付デイリーニュース第1面 「Qatar job market open for Tanzania」 2015年1月15日付デイリーニュース第19面 「Omani traders in Dar on business mission」 2014年12月22日付ガーディアン第4面 2014年12月22日付ガーディアン第1,2面 EIU(2014)「GCC Trade and Investment Flows」ロンドン:EIU |
(5)中国企業、ムワンザにおける8投資案件のMoUに調印(投資)タンザニア第2の都市ムワンザは、2009年からムワンザと姉妹都市関係にあるヤンプー県(上海)から訪問した中国人投資家との間で、観光、農業分野等における8件の投資計画MoUを締結。ルチェレレおよびイゴマにおける衛星都市の建設、サーナネ島、セレンゲティにおける野生生物等の観光施設の開発強化等を含む今般のMoU締結により両都市間の関係強化も期待されている。 2014年12月23日付シティズン第6面 |
(6)キクウェテ大統領、IPTL問題について発言(政治・電力)12月22日、ダルエスサラームの長老委員会において、IPTL問題に関する11月末の議会決議を受けキクウェテ大統領は、今後、追加調査を行った上で「タ」政府としての対応を行う旨発言。同22日、「キ」大統領は不正資金を受け取ったとされたティバイジュカ土地・住宅・集落大臣を罷免。 さらに、ンチェンバ財務副大臣は、本年1月7日に7名のTRAの職員が停職処分となった旨説明。同月14日には土地・住宅・集落省及び地方電力規制局の職員が起訴されている。(一連の「タ」の対応ぶりを受け、対タンザニア援助の拠出を保留していたドナー国の内、デンマークは12月に資金を拠出。) 2015年12月23日付ガーディアン第1、2面 2015年1月8日付シティズン第1、2面 2015年1月8日デイリーニュース第1、3面 2015年1月15日付ガーディアン第1、3面 |
(7)ダルエスサラームの生活費指数、ナイロビを上回る(ビジネス環境)Numbeo(元Google社ソフトウェアエンジニア設立)が運営する世界の都市、国々における生活費、不動産価格、犯罪率等の生活に関する情報を提供するデータベースは米国ニューヨークを100とした2015年の生活費指数を発表。同発表によれば、ダルエスサラームの生活費指数は東アフリカ共同体(EAC)域内で最も高く、アフリカの都市(17ヵ国22都市中)としてはルアンダ(アンゴラ)、アクラ(ガーナ)などについで5番目に高い水準で、消費者物価指数は62.83(東京85.41)、不動産(賃料)指数は35.68(東京40.19)、食料雑貨類指数は62.06(東京90.09)。なお、同生活費指数はクラウドソーシングによる情報に基づくもの。 2015年1月6日付シティズン第10面 Numbeo 「生活費指数2015年ランキング」 |
(8)TPDC、ムトワラ-ダルエスサラーム間天然ガス・パイプラインの完成引渡6月頃と発表(天然資源)タンザニア石油開発公社(TPDC)は、1月から試運転の開始を予定していたムトワラ-ダルエスサラーム間の天然ガス・パイプラインの敷設工事の完了見込は2月末頃、完成引渡しは6月頃となる旨発表。 2015年1月7日付シティズン第10面 2015年1月6日付ガーディアン第3面 2015年1月6日付デイリーニュース第1面「More vehicles, houses now use gas」 TPDC報告書(スワヒリ語) |
(9)タンガ経済回廊社、第一号工場を3月に完成(投資・製造)タンガ経済回廊社(TEC)の第1号工場が3月に完成する旨発表。2013年6月にビラル副大統領により開所されたTECは、タンガ市49%、韓国の投資家グループ51%の共同出資によるもので、20の工場を建設予定。総投資額は4,430億シリングとなる見込。TECのChris Incheul Chae会長(兼韓国のNGOアフリカ・フューチャー・フォーラム(AFF)会長)は、同工場で製造された製品の内、70%は輸出向け、残り30%が国内向けとなる旨説明。AFFタンザニアのキゼンガ・カントリー・ダイレクターは、第1工場では約5,000人の雇用を見込んでいる旨発言。 2015年1月7日付ガーディアン(ビジネス版)第1面 |
(10)世銀・IMF、タンザニアの経済成長は引き続き7%前後と予測。NBS、GDP推計方法を見直し(経済)1月7日、国際金融基金(IMF)はタンザニアの第1次PSI(Policy Support Instrument)レビューを発表。タンザニア経済を概ね前向きに評価するも、国内・対外債務の拡大に懸念を示した。同発表によれば、2014年上半期の経済成長は堅調であり、同期の国内総生産(GDP)成長率は約7%となる見込。 インフレ率は一桁台で、本予算年度が終了する6月末までに5%以下(国家統計局(NBS)発表によれば2014年12月インフレ率は前の月から1ポイント低下の4.8%)に低減するという「タ」政府目標に沿った数値となっている。政府予算については、昨年6月以降、海外からの非譲許的借入れ、ドナー拠出の遅延、歳入不足により財政状況は悪化していることから、「タ」政府はPSIプログラムの目標値達成のために半期予算見直しの際に歳入の見直し及び支出調整を行う予定。 引き続き積み上がり続けている国内債務の未払い金については、包括的な取り組みが必要。年金基金の未払い金に対する対処と「タ」政府と年金基金との間の関係性の透明化も必須。 1月14日発表の、世界銀行(WB)の2015年1月「世界経済見通し」によれば、タンザニアは隣国モザンビーク同様ガス田の発見を背景に経済成長が見込まれる。特にタンザニア、ナイジェリア、ウガンダでは、交通、通信及び金融サービスに牽引され、サービスセクターが拡大。2014年中の食料価格、エネルギー価格の低下は、特にサブサハラ・アフリカにおけるインフレ率の低下をもたらした。 また、低所得国の国内需要は活発に伸びており、特にタンザニア及びケニアでは、実質所得の上昇が消費を促進。 サブサハラ・アフリカ全体の2013年と2014年のGDP成長率はそれぞれ4.2%、4.5%であったが、同地域における極度の貧困は依然として高く推移。同地域における2015年の成長率は4.6%で、2017年には5.1%程度が見込まれている。2013年と2014年のタンザニアの成長率は7%、2015年には7.2%となる見込み。 なお、NBSは、昨年12月19日、サルム財務大臣の出席の下、タンザニア本土(ザンジバルを除く)のGDP基準年を2001年から2007年に改訂した旨及び推計方法を見直した旨発表。今次改訂では、2005年まで遡り新基準を適用するとともに、新カテゴリーとして近年目覚ましい成長を遂げている携帯電話産業を含む情報通信などを基礎データに導入。同改訂により、2013年の実質GDP成長率は、改訂前の7.0%から7.3%に上方修正となった。本年1月中には、ザンジバルの改訂作業が完了する見込みで本土のGDPとの比較が可能なザンジバルのGDP算出結果が初めて発表されることとなる。 2015年1月7日IMFプレス発表 2015年1月8日NBSプレス発表 WB(2015年) 「Global Economic Prospects: Having Fiscal Space and Using It」 ワシントンD.C.: WB NBS(2014)「The Tanzania Mainland Revised National Accounts Estimates -Base Year, 2007 Report その他関連情報NBS(2014) |
