現地メディア向け開発協力プレスセミナー・ツアーの開催(JICAタンザニア事務所共催)

令和6年10月30日
 9月25日から27日にかけて、当館は現地メディア向けプレスセミナー・ツアーをJICAタンザニア事務所と共催で実施し、新聞・テレビ15社22名(主要英字新聞3社、地元スワヒリ語新聞1社、テレビ局4社、ラジオ局2社、オンラインメディア4社、外務省(広報担当))の記者及びカメラマン等が参加しました。このプレスツアーは、日本の国際協力70周年を記念し、これまでの取組を踏まえた我が国の開発協力が現地メディアで取り上げられる機会を増やすとともに、タンザニアの政府関係者、知識層のみならず、広くタンザニア国民への情報発信を強化するためのものです。
 
 プレス一行は、ドドマ州を訪れ、我が国の国際協力の歴史とJICAの取組に関するプレスセミナーを受けた後、草の根・人間安全保障無償資金協力事業やJICAによる有償資金協力、技術協力、民間企業支援等に係る支援現場の視察を行いました。
 
【1日目】
セミナーにて開会挨拶を行う三澤大使
ズズ村にて草の根で支援された給水ポイントで取材を受ける村人
○国際協力70周年記念プレスセミナー
 1日目は、我が国の70年にわたる国際協力において、その歴史と共に日本の支援の特徴、協力により構築した友好関係の重要性等について紹介しました。また、JICAプロジェクトや研修等で関係性が深く、日本の取組について見識の深いSagini憲法司法副大臣が登壇し、自身の経験による日本との協力の重要性、意義等を語りました。
 
○草の根・人間の安全保障無償資金協力による環境改善!
 1日目の午後には、草の根・人間の安全保障無償資金協力「ドドマ州ドドマ市ズズ村井戸改修計画」の現地を訪れ、改修された井戸やソーラーポンプシステム、整備された給水設備を視察しました。地域住民からは、水問題が大きく改善され、4,000人以上の村民が裨益したことが現地メディアに伝えられました。
 
【2日目】
第二次道路セクター支援事業の取材を受けるJICA荒所長
O&ODの取組を紹介する女性グループ
○道路インフラ整備による地域連結性の向上!
 2日目午前には、JICA有償資金協力「第二次道路セクター支援事業」を視察しました。タンザニア道路公社から事業概要について説明があり、本事業区間は、首都ドドマとタンザニア北部を連結する位置にあり、本事業により移動時間が大幅に短縮され、急増する道路輸送需要への対応を図り、EAC域内諸国の地域統合に寄与することが伝えられました。
 
○JICA技術協力「改良O&ODを通じた地方自治強化」により、コミュニティ自身での開発を実施!
 2日目の午後は、JICA技術協力「改良O&ODを通じた地方自治強化プロジェクト」の支援現場であるドドマ州コンドア県ムネニャ村を訪れました。
 O&OD(Opportunities and Obstacles to Development)とは、コミュニティ自ら課題を特定し、地方自治体とコミュニティの共同により公共サービスを提供し、地域開発を進める仕組み作りのことです。ムネニャ村では、本手法を取り入れたことにより、村の課題解決に自ら取り組む姿勢が醸成され、現在では30以上のグループが形成され、それぞれ課題解決に向けた取組を行っているとのことです。メディアは養蜂事業、中学校建設事業や灌漑事業に取り組むグループを取材し、本プロジェクトで、政府に頼らず、地方政府と連携しつつ、コミュニティ自ら課題解決を実践している状況が伝えられました。
 

【3日目】
SWAHILI HONEYでの取材の様子
ドドマ地域中核病院での視察の様子
○日本企業の技術による「ハチミツ」の品質向上、付加価値化!
 3日目は、JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業「養蜂ビジネス構築のための案件化調査」に関し、日本企業と協業するタンザニア養蜂企業「SWAHILI HONEY」を訪問しました。同社は、製品の日本への輸出を視野に、日本の近代養蜂の手法を取り入れ、生産性、品質向上を図っています。
現地では、同社が取り入れている近代養蜂技術や工場内での実際の加工状況を取材し、従来製品との違いを確認するとともに、輸出が実現すれば、約2,500戸のタンザニア養蜂家のハチミツが日本に輸出されることが伝えられました。
 
○「5S-KAIZEN」による病院運営改善!
 続いて、JICA技術協力「地域中核病院マネジメント強化プロジェクト」の対象病院であるドドマ地域中核病院を訪問しました。ここでは、2015年より5S-KAIZEN手法を用いた病院運営改善を実施しており、薬局の経費請求や在庫管理における運用改善から組織再編まで、幅広く病院運営に適用されています。
 また、タンザニア全土においても28の地域中核病院とその傘下の病院の運営が改善されていること、本手法は病院だけでなく学校等でも低コストで導入できることが伝えられました。
 プレスツアー後、各紙・テレビ等ではツアーや我が国開発協力の各取組が報道されました。ツアー後1週間で23件の記事掲載、テレビ報道がなされ、大手新聞社やテレビ局に加え、オンラインメディアを通じて幅広い視聴者、読者層を対象に日本の取組を発信できたことで、タンザニア国民の我が国開発協力事業への理解もより一層深まったのではないかと思います。